あいかわ公園 ツツジの図鑑

あいかわ公園で見られるツツジをまとめた図鑑です。ツツジは自生種から園芸種まで様々な種類があり、似たようなものがとても多いです。図鑑を片手に見比べながらお散歩していただけると幸いです。用語としてクルメツツジを原種とするもの(クルメ系)、日本にもともと存在するもの(自生種)、シャクナゲというツツジ科の花と交配したもの(交配種)が出てきます。現在45種類が載っています。

図鑑 赤色のツツジ

赤色のツツジ


チクシベニ(クルメ系・一重咲き)

場所:パークセンター正面の階段 
時期:4月上旬
濃い赤色を持ちます。一重咲きの赤色系の中では見分けやすい種類です。見分けるポイントとして、花の中の雄しべの数に注目してみましょう。チクシベニには7本の雄しべがあります。おしべが短いため、めしべの長さが目立ちます。 花付きはクルメツツジらしく、周辺を赤一色に染め上げます。

チクシベニは公園の赤系のツツジの中でも特に色が濃いです。赤系のツツジは園内に多数みられるのですが、その中でも断トツの濃さです。

奥に咲くのは紫系のコチョウノマイです。色が全然違いますね。花の斜面下のパークセンター側ではたくさんのチクシベニが見られます。
刈込への耐性が高いらしく、毎年比較的多数の花をつけてくれます。





リュウ(クルメ系・二重咲き)

場所:工芸工房村の上り坂 
時期:4月上旬
赤とオレンジを混ぜたような色合いを持ちます。花中央と外側で色が異なるものが多く、見た目以上にカラフルな印象を与えてくれます。赤色系の中では二重咲きのため簡単に見分けられます。チクシベニとは赤色の系統が異なり、こちらは色味が明るいオレンジのような印象です。

花の後ろに有る緑色のガクが花びらのように変化しています。ヒリュウの裏側を見てみましょう。

工芸工房村から森のわたり橋へ進む道に絶好の撮影スポットがあります。じっくり見られるのでおすすめです。





ホンキリシマ(キリシマ系・一重咲き)

場所:パークセンター正面階段 
時期:4月上旬
小輪の花を咲かせます。こちらは雄しべが5本なので、似たチクシベニと判別できます。公園にも生えている自生種ヤマツツジの品種改良種で、キリシマ系は似たものが非常に多いです。ホンキリシマはヒリュウの色に近く、真紅色と呼ぶにふさわしい色合いです。
ホンキリシマは園内での数がとても少ない種類で、園内ではパークセンターから花の斜面に登ってすぐの場所にしか見られません。
付近の樹木が大きくなった影響で日光が減り、最近は花付きが減少傾向にある種類です。




ヒノデキリシマ(キリシマ系・一重咲き)

場所:工芸工房村の上り坂 
時期:4月上旬
ホンキリシマが真紅ならヒノデキリシマは赤とピンクの中間の色合いです。また、ヒノデキリシマのほうがホンキリシマより大きい花をつけます。

大きさよりも色の違いに注目すると分かりやすいかもしれませんね。
園内ではヒノデキリシマは数がとても少ない種類です。見られるのは一カ所で、工芸工房村から上り坂を上がっていくと左手に見られます。
ホンキリシマとヒノデキリシマは同じキリシマ系のツツジなのですが、違いが分かりにくい種類です。








ヤマツツジ(自生種)

場所:花の斜面左上  
時期:3月下旬~4月上旬
山地に自生する赤とオレンジ色の混ざり合った美しいツツジです。交配種のツツジの原種として利用されてきました。ミツバツツジほどではありませんが大型の花をつけるため非常に目立ちます。園内で美しいヤマツツジの集団を見るためには花の斜面をずいぶんと登る必要があります。パークセンターから風の丘の方を見て左上の方の花の斜面を目指しましょう

森のわたり橋付近の階段の当たりではヤマツツジ、ハナアソビの2種が時期になるとにぎやかに斜面を彩ります。この付近のヤマツツジは特に淡い色をしており、色の比較におすすめです。

赤系のツツジにはアゲハチョウの仲間が来ていることがあります。写真はキアゲハですがツツジの色とよく似あいますね。




オンツツジ(自生種)

場所:パークセンターから花の斜面入口 
時期:4月上旬~中旬
ミツバツツジと同様に3枚の葉を開きます。色は差があるものの明るいオレンジに赤色が入ったような色で目立ちます。自生種ではありますが、分布は西日本です。そのため、神奈川では普通に見ることはできません。
色味がかなり独特な種類のため、レンゲツツジと並んで実物の色を見て欲しい種類です。
パークセンターから既に見える場所なので、少し足を運んでみましょう。






ハナアソビ(クルメ系・一重咲き)

場所:森のわたり橋付近  
時期:4月上旬
似たマヤフジンやアヤヒメよりも大きめの花を咲かせます。花が大きい分雄しべも長いです。おしべとめしべの長さが同じくらいなのもわかりやすいです左にわずかに映るのがホンキリシマの色です。ハナアソビが赤紫に近い色なのが分かります。
似た種類としてはハナアソビより小型なものの色合いが似ているマヤフジンが挙げられます。花の大きさが一回り違うので比較してみましょう。
森のわたり橋付近ではハナアソビとマヤフジンが隣接しています。

おすすめ撮影スポットは森のわたり橋付近です。ミツバツツジヤマツツジ、トコナツなどとうまく写真を撮るとお気に入りの一枚が撮れるかもしれませんね。
写真の奥はミツバツツジです。



レンゲツツジ
(自生種)

場所:花の斜面上部
時期:4月中旬~下旬
あいかわ公園で実際に色を見てほしいツツジNo.1がこのレンゲツツジです。
園内ではレンゲツツジの足元まではいけないので、撮影する場合望遠のカメラや双眼鏡が必要になってしまうのですが、とても綺麗な色合いです。
淡いオレンジの中央とそこから外側にかけて赤色が濃くなる赤系のグラデーションがたまりません。レンゲツツジは自生種で高山に生える植物なのですが、あいかわ公園では元気に育ってくれているようです。

遠目から見ても1発でレンゲツツジだと分かる独特な色合いです。
クルメツツジ系の終わりごろから咲き始めるので、忘れずにチェックしておきましょう。

株数は少ないですが、パークセンター前から花の斜面の入口付近のスロープにもありますよ。


ベニドウダン

場所:花の斜面
時期:5月上旬
ドウダンツツジの園芸種というわけではなく、日本に自生している種類です。ドウダンツツジたちは園芸としてなじみ深いですが自生は珍しい種類です。ベニドウダンの本来の分布は西日本の太平洋側とされています。




オオサカズキ(サツキ)

場所:パークセンター前
時期:5月中旬~下旬
最もメジャーなサツキとされ、色々な所に植えられているのを見かけられます。サツキたちは5月中旬~咲くものを指し、ややこしいですがまとめればツツジの仲間です。



サツマベニ(サツキ)

場所:花の斜面
時期:5月中旬
花の斜面に植えてあるツツジたちの中では咲くのが5月中旬頃からと比較的遅い種類です。サツマベニが見頃のころには他のツツジたちは旬を終えているので注意しましょう。大輪の赤花なので迫力があります。




ベニクマノ(サツキ)

場所:花の斜面中央
時期:5月中旬
中輪でサツマベニよりも鮮やかな色合いをしています。花の時期はサツキ系なので5月中旬~と遅いです。オオサカヅキ、サツマベニ、ハカタハクの種類が同じ時期に見られます。




カルミア オスポレッド


場所:パークセンター前
時期:5月中旬
あいかわ公園のツツジが咲き終わったころに紙風船のような可愛い花をたくさんつけます。もともと日本にはない植物で、園芸用に使われています。独特な赤色と花付きの良さから写真映えもする綺麗な花ですが、やってきた虫が雄しべに触れると花粉を出すなど日本のツツジとも似たような性質を持っています。